前十字靭帯断裂

前十字靭帯断裂

前十字靭帯断裂は、犬の運動器疾患の中でも多く遭遇する疾患で、両側性にも発生します。
前十字靭帯は膝関節の安定化を担う靭帯で、人では外傷性断裂が一般的ですが、犬では多くが靭帯の変性に伴い発生し、二次性の変形性関節症や半月板損傷を招きます。
大型犬では好発する傾向がありますが、小型犬においても膝蓋骨内方脱臼に続発して前十字靭帯断裂を生じる傾向があります。
触診、X線検査により診断をし、治療方法としては鎮痛剤を主体として内科療法や、関節外法、または、機能的安定化術による外科療法があります。
近年では、関節外法と比較し、機能的安定化術の方が優れた機能回復を示すとの報告から、当院では、機能的安定化術であるTPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)を施術しています。
より強固な骨の安定化を目的とし、Fixinロッキングプレート(Trauma vet社)やLCPロッキングプレート(Synthes社)を症例に応じ使用しています。

ヨークシャーテリア (体重3.7 kg)
膝蓋骨内方脱臼を併発 Fixin φ1.7mmを使用

前十字靭帯断裂

(術前)(術後)

柴犬 (体重 11.4 kg)
Synthes φ2.7mmを使用

前十字靭帯断裂

(術前)(術後)

2症例とも前十字靭帯完全断裂により、脛骨の前方変位が認められていましたが術後には改善し、膝関節が安定化されています。
現在では跛行や疼痛は認められず、走ることも可能となりました。

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